近年ではさまざまなメディアで取り上げられている「マインドフルネス(mindfulness)」ですが、概要やメリット・デメリットががよくわからないという人も多いのではないでしょうか。
この記事では、初心者でも理解できるように、マインドフルネスの概要をわかりやすく解説していきます。メリットとデメリットも併せて紹介します。
マインドフルネスとは
マインドフルネスとは、雑念に捉われず五感に意識を集中させ、「今の気持ち」や「今の状況」を受け入れながら心を育んでいくことです。呼吸と連動したお腹の動きや、五感を使った体験などによって過去の経験や先入観に捉われない心を育成します。
マインドフルネス効果は多くの研究で示され、アップルやグーグルといった大手企業も社員研修の一環としてマインドフルネスを導入しています。近年では、独自のマインドフルネスプログラムを実践する国内の企業も増えてきました。
マインドフルネスな状態にする方法として代表的なのは「瞑想」です。瞑想によって従業員の心を育み、ストレス耐性の向上やセルフマネジメント強化といった効果が期待されています。モチベーションや集中力、記憶力、生産性などの向上を目的としてマインドフルネスを導入している企業も少なくありません。
さらに、マサチューセッツ大学のジョン・カバットジン博士が開発した「マインドフルネスストレス低減法(MBSR)」や「マインドフルネス認知療法(MBCT)」は、医療の現場でも取り入れられています。
このように、日常生活だけではなく、さまざまなシーンで広く浸透しているのがマインドフルネスの大きな特徴です。
マインドフルネスの語源
マインドフルネスの語源は、パーリ語の「sati(サティ)」や、サンスクリットの「smṛti(スムリティ)」とする説が有力です。
どちらも仏教の禅の考えを表している言葉で「念」や「気づき」という意味があります。また、人を苦しみから解放するための自己認識や悟りへと導く智慧ともされています。
マインドフルネスと瞑想の違い
マインドフルネスは「今の状態に意識を向ける心理的過程」を指します。一方、瞑想は「心を静めて集中するための手段」を指します。
瞑想をしながら心を静めたうえで、今の状態に意識を向けるとわかりやすいでしょう。
マインドフルネスのメリット
マインドフルネスは脳をリラックスさせる効果があるため、緊張状態や不安が緩和されてストレスが軽減されます。マインドフルネスのテクニックによってストレスが最大14%軽減されるという研究結果もあります。また、交感神経と副交感神経のバランスが整い、睡眠状態の改善にもつながります。
心が安定して正しい判断ができるようになるのも、マインドフルネスのメリットです。脳を休ませて心が安定状態になれば、怒りや悲しみといった間違った判断へと導く元凶が消え去ります。ネガティブな発想を排除できれば、積極的に行動する習慣も身につくでしょう。
マインドフルネスのデメリット
マインドフルネスのデメリットは「瞑想への依存」です。心を落ち着かせて前向きな気持ちになるためには瞑想が欠かせません。しかし、瞑想に依存してしまうと自分の殻に閉じこもり、うつやPTSDといった心の病気を悪化させる恐れがあります。
瞑想はあくまでもリフレッシュ感覚で行なうことが大切です。「瞑想をしなければいけない」といったように義務化・目的化してしまうと、瞑想そのものがストレスになってしまいます。
正しい方法で瞑想をしても、集中できないことはあります。雑念を取り払うのが難しい場合は無理をしないで、少しずつ慣れていくようにしましょう。気が向かないときは中断しても構いません。
まとめ
今回は、マインドフルネスについてわかりやすく解説しました。
マインドフルネスは「今の状況」を把握して、過去の経験や先入観に捉われない心を育成することです。基本的には、瞑想によって心を落ち着かせ、雑念を取り払っていきます。
マインドフルネスにはストレスの軽減や判断力の向上といったメリットがあるため、ビジネスシーンでも広く取り入れられています。
ただし、やり方によっては瞑想への依存や精神疾患の悪化といったデメリットがあるため、リラックス感覚で気軽に実践することが大切です。